豊洲新市場の問題

築地市場豊洲新市場 移転問題のその後

築地市場のことについて書いたのは4ヶ月ちかく前。直後の7月末に都知事選挙小池百合子氏が選出され8月に都知事になった。豊洲新市場についての問題は、同選挙の候補者でもあった宇都宮健児さんから受け継いだ東京都が抱える課題の一つだったと思う。盛り土問題やら地下水の問題などが出るわ出るわで、結局予定されていた11月の市場の開場は見送られて延期されたが、豊洲新市場の問題は年をまたいでさらに大きくなるばかりだ。

2017年1月14日に開かれた豊洲新市場の安全性を検証する東京都の専門家会議で、豊洲新市場で実施した9回目の地下水モニタリング調査結果が発表され、なんと最大で環境基準値の79倍のベンゼンが検出され、今まで未検出だったシアンが計数十箇所で検出されたことが明らかになった。

実は2007年の専門家会議では、基準値の4万3000倍ものベンゼンや860倍ものシアン化合物が測定されたことが明らかになっていたそうな。

都が支払った土地代金は1,859億円。だが都はさらに汚染対策費849億円をつぎ込んだ。土地代の半分ほどに当たる。

豊洲新市場の汚染された土地の買収過程に疑問を抱いた市民らが、高値で購入したのは公金の違法支出だとして「返還」を求めた裁判がある。東京ガスは汚染対策工事費用として100億円、追加で78億円を支払っていたことが裁判の書面で明らかになっていると聞く。

前の土地の持ち主だった東京ガスは、土壌はガスを精製する過程で使われる様々な有害物質で汚染されているとして、当初は市場としての土地売却を渋っていたことを前のブログでも書いたが、売却後に汚染問題が発覚しても一切の補償に応じないという契約に盛り込まれていることも明らかになった。

巨額の費用をかけても、この汚染問題は解決できないことを東京ガスは知っていたのではないか、という疑問がわいてくる。もしそうであったなら、東京電力だけではなく、東京ガスまでもが、一流企業の仮面をかぶった立派な悪党だと思う。

ところで知識人といわれる人の中には「ベンゼンやごく微量のシアンが検出されたとしても、少なくとも、地下水を利用することのない地上の豊洲市場での生鮮食品の取扱いに影響を及ぼすものではない」とか「70年間、毎日2リットル飲み続けて、健康を害する人が(何千人に1人)出るか出ないかという数字であり問題はない」とかいう意見があるが、たとえ地上は安全だとしても、地下は化学物質で汚染された市場に対して、世間一般の感覚からするととてもじゃないけど安心感は持てない。

東京都の小池百合子知事は二十日の定例記者会見で、豊洲市場江東区)の土地購入を巡って係争中の住民訴訟で、購入当時の知事だった石原慎太郎氏に「損害賠償責任はない」と主張してきた都の方針を見直すと表明した。新たに弁護士らによる特別チームを設置し、ガス工場跡を市場用地に選んだ経緯や、土地売買契約に問題がなかったかを究明し、石原氏の責任を明確にする。(東京新聞1月21日)

ウィキペディアによると、小池百合子氏が甲南女子高校在学中の1969年、神戸市で衣料関連の貿易商を営んでいた実父が、石原慎太郎氏による将来的な新党結成を見据えた「日本の新しい世代の会」の推薦を受けて衆議院議員選挙に立候補したが落選したらしい。この時、政治家としての野望は娘に託されたんだろうか。

そんな関係もある小池百合子氏はどこまで石原慎太郎氏を追及できるのだろうか? マスコミ・バラエティー番組のための茶番劇にしてはいけない。新市場の問題は東京都の大事な問題ではあるが、このノイズの影では、国レベルの大事な問題が意図的に隠されてしまっていることに気がつかなければならない。

「盛り土問題」で悪化した「豊洲市場」のイメージは、さらに極端に悪化し、「もはや豊洲への移転は不可能」という声も上がっているという。豊洲への移転を断念し、ブランドとして確立した築地市場の再整備を求める声も高まっているらしい。移転問題で築地での廃業を決めたり、新市場移転のために費用を捻出したり、借金をしている市場関係者の気持ちを察すると心が傷むばかりだ。東京都は、彼らに謝罪して負担した費用を補償するべきだと思う。

 

これまで6000億円の費用をかけたこの豊洲新市場はどうなるのか?

前のブログで、TPP締結を前提として、同盟国アメリカからの遺伝子組換えの大量の魚と農作物を輸入し国内で配送するための拠点ではないかと書いた。1月20日に合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ氏の最初に公約通り、TPP(Trans Pacific Partnership=環太平洋連携協定)からの交渉離脱を表明した同日、日本国政府はTPPの締結に必要な批准手続きを行ない、TPPを取りまとめている寄託国ニュージーランドに通知した。TPP参加国12カ国の中で真っ先に批准してしまったわけだ。

TPPによってアメリカから大量に入ってくる輸入品の国内配送センターではないとすると何だろう? 国民の理解も得られないまま昨年12月に成立したIR(Integrated Resort 統合型リゾート)推進法が怪しく見える。え、まさか!カジノ?

なんと、カジノは1999年に石原慎太郎知事時代にスタートしたお台場カジノ構想が出発点だという。小池百合子知事は自民党衆議院議員のころ「IR推進議員連盟」のメンバーで、カジノ解禁には前向きだった。ちなみに、前知事の舛添要一氏は、カジノ法案に猛反対してことで知られる。

そういうシナリオだったのか。カジノの問題はここでは触れない。お金持ちが来てジャラジャラとお金を落とせば幸せと考えている政治家と官僚がはびこる日本は嫌だね。

築地と豊洲の問題はWatchし続けます。

だらだらの長文をご覧いただきありがとう。